何の賞味期限?

 

おはようございます。

 

僕が働くスーパーの食品売り場の商品には、それぞれ賞味期限があります。

 

短いものでは、お刺身のように当日限りのものもあれば、長いものでは

 

缶詰のように数年間保存できるものもあります。

 

特に賞味期限が長い商品は鮮度チェックの際、うっかり賞味期限を見落とし、

 

お客さんからクレームの電話がかかることがあります。

 

すぐにお客さん宅を訪問し、健康に影響がないか確認し、適切な対応を取ります。

 

食べて食中毒にでもなったら大変です。

 

売場に賞味期限切れの商品が並ぶことは絶対許されません。

 

話は変わりますが、僕のお店には商品管理部という部署があり、

 

入荷商品の荷受けや返品処理などの業務を担当しています。

 

そこには入社してから30年以上の経験を積んだベテラン女子社員がいます。

 

噂では彼女が若い頃、美人で、男子社員からモテモテだったそうです。

 

当初は青果売り場を担当したようですが、その美しさに男子社員から

 

ちやほやされ、売り場では輝いていたようです。

 

その後、彼女は同じお店の男性と結婚しましたが、わがままな彼女は

 

夫と関係がうまくいかず、わずか1年で離婚したそうです。

 

彼女はその後も正社員として働きましたが、仕事に対する真剣さが

 

欠けていたため、レジ部門に異動となりました。

 

しかし、彼女は接客態度が悪く、お客さんとのトラブルが絶えず、

 

売り場でお客さんに対応する仕事は適していなかったようです。

 

そして今では、売場に出ることがあまりない商品管理部で働いています。

 

彼女はお局さんとも言える存在でしょうか、お店では一番勤続年数が長く

 

店長よりも5年も長いのです。

 

彼女はお店では大将です。自分の仕事のスケジュールにみんなを合わせます。

 

若手の女子社員などは彼女に呼びつけられ、いつも叱られることがあり、

 

彼女がいる時はなるだけ事務所に立ち寄らないようにしています。

 

伝票の締め日には、売り場が忙しくても午前中に伝票チェックを

 

するように、各部門に指示します。

 

いつもは売場が落ち着いて午後から伝票チェックをする売場担当者は、

 

その指示に疑問を持ちますが、誰も逆らえません。

 

しかし、店長には手のひら返しで笑顔で誠実そうに対応します。

 

そのため、店長からの評価は悪くはありませんでした。

 

その日の夕方、僕が事務所で仕事をしていると、彼女は仕事が早く

 

終わったのでしょうか、同僚と無駄話をしていました。

 

そして、時間が来るとさっさと退社しました。

 

彼女の自己中心的な仕事ぶりには腹が立ちました。

 

僕は、彼女は社員としての賞味期限はとっくに切れていると感じました。

 

それを彼女に自覚してもらわなければなりません。

 

それから数日後、僕は家から賞味期限が3日過ぎたチョコレートを

 

持って会社に行きました。

 

彼女が一時的に事務所を出ている隙に、僕はチョコレートと一緒に

 

メモを添えて彼女の机に置きました。

 

そのメモには「いつもお疲れ様です。賞味期限は切れていますが、

 

あなたに喜んでもらうようにチョコレートを用意しました。

 

もしよろしければ食べてください」と書きました。

 

すぐに彼女は戻ってきました。

 

そのとき、彼女は「このチョコレートはあなたがくれたの?」と

 

僕に尋ねましたが、知らないふりをしました。

 

そして彼女はメモを読みました。

 

僕は彼女がどんな顔をするのか楽しみでした。

 

驚くことに、彼女は「チョコレートなら3日くらい賞味期限が

 

過ぎても大丈夫ね」と言って美味しそうに全部食べました。

 

その瞬間、僕は彼女が社員としての賞味期限は切れたかもしれないけれど

 

お局さんとしての賞味期限はまだまだ切れていないんだと悟りました。

 

賞味期限切れのチョコレートを食べた彼女はますます猛威を振るい、

 

僕たちを悩ませています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。