お客様は神様です

 

おはようございます。

 

先週の土曜日のことです。

 

精肉部門で働く僕は、お肉の売れ行きが良かったため、夕方まで残業

 

することになりました。

 

仕事が一段落し、帰ろうとしていたところ、お客様から電話がありました。

 

内容は、その日の午前中に精肉売場で買った焼肉のたれの賞味期限が

 

切れていたということでした。

 

お客様から商品名を聞いた後、僕はすぐに売場の商品を探しましたが、

 

その商品は売り切れていて、賞味期限を確認できませんでした。

 

それで僕はお客様に「賞味期限はいつですか」と尋ねたところ、お客様は

 

「1月25日になっている」と怒っていました。

 

お客様は、「せっかくの家族団らんを焼肉で楽しもうと思っていたのに、

 

たれがなくては焼肉はできない」と不機嫌そうに言いました。

 

「もしこのたれを使って焼肉を食べて食中毒になったら、お店が責任を取って

 

くれるの?」と、非情に強い口調で訴え、すぐ代わりのたれを持って

 

来るようにと怒りを込めて僕に要求しました。

 

その時は、外は日が暮れて、すでに薄暗くなっていました。

 

初めての不慣れな夜道を運転するのに加えて、お客様にどのように

 

謝ればいいのかという気持ちで、僕は不安がいっぱいでした。

 

やっとのことでお客様の家に到着し、僕は恐る恐るお客様と会いました。

 

僕はお客様からレシートと焼肉のたれを見せられ、「今日、あなたの

 

お店でこれを買ったのよ」と不機嫌な調子で言われました。

 

日付管理を疎かにした僕は、お客様に申し訳ない気持ちで、たれの裏側に

 

記載されている賞味期限を確認しました。

 

するとそこには、賞味期限「24.1.25」と記載されていました。

 

僕はその表記を見て、今までの不安な気持ちが明るいものに

 

変わったことを感じました。

 

僕はお客様に、「これは来年の1月25日が賞味期限ですね」と

 

お客様のプライドを傷つけないように優しく言いました。

 

するとお客様は、「あらそうなの?随分賞味期限が長いのね。

 

これじゃ、誰だって間違えるでしょう」と他人事のように言いました。

 

何を言われてもお客様は神様です、そう思うのが僕の仕事です。

 

僕はお客様のご機嫌を損ねないように、「賞味期限の数字が小さすぎて

 

よく見えませんね。お客様にはご迷惑をおかけして申し訳ありません

 

でした」とお詫びしました。

 

するとお客様は、「その手に持っているのは何?」と僕に尋ねました。

 

僕は、「お客様に迷惑をかけた時のお詫びの粗品で、キッチンラップ

 

です」と答えました。

 

お客様は、「ちょうどそれが欲しかったのよ、せっかく用意してきたんだから

 

置いて行ってくれる」と先ほどの不機嫌が嘘のように軽い口調で言いました。

 

それを聞いて、誠意を尽くした僕は、お客様に裏切られたような

 

気持ちになりました。

 

でも僕にとっては、いつもお店を利用して下さる大切なお客様です。

 

不本意ですが、神様であるお客様に言われては断ることはできませんでした。

 

そこで、「こんなものでよかったらお使い下さい」と笑顔で差し上げました。

 

お客様の家から出ると外はすっかり陽が落ちていました。

 

僕は夜空に輝く星を見ながら、「神様、決してあなたは人間のように

 

僕を裏切ることはありませんね。それでもお客様を神様と思って

 

働いている僕の辛さを分かって下さいね」と同情を求めました。

 

お店に戻った僕は、いつも周りを囲む神様に見守られながら

 

仕事をすることは、本当に幸せだなと感謝しました。(涙)

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。