食卓に幸せを

 

おはようございます。

 

「食卓に幸せを」、これは僕がお肉の売場での仕事において

 

大切にしている言葉です。

 

今回はこの事について書いてみます。

 

介護の仕事を辞めて、僕はスーパーの精肉部門で働くようになりましたが、

 

お肉に関する知識はまったくありませんでした。

 

僕は不器用なので、お肉の加工技術や知識について習得するのに

 

かなりの時間がかかりました。

 

先輩が包丁の腹をパチンパチンとまな板に叩きつけながら、「何度言ったら

 

わかるんだ」と僕を怒鳴りつけました。

 

理不尽なことも多く、僕はとても辛い思いをしました。

 

生きていくことの厳しさを実感した瞬間でした。

 

その当時の店長はお肉のことはよくわからず、ほとんど精肉部門に

 

関わることはありませんでした。

 

業界知識などは副店長から教えてもらいました。

 

なので、僕はお肉の先輩と副店長に教育されるだけで、店長からの

 

教育はほとんどありませんでした。

 

僕が3年目の時、店長と先輩が異動し、新しい店長が着任して、

 

僕は精肉部門のリーダーになりました。

 

ある朝、店長がお肉の売場に来て、「今日は何をする?」と僕に聞くんです。

 

当時、僕は店長が言っている意味が分かりませんでした。

 

黙っている訳にもいかないので、僕は「牛肩ロース肉の在庫が多いので、

 

処分を兼ねてすき焼き用をたくさん品揃えします」と答えました。

 

店長は「他には?」と尋ねました。

 

僕は「豚のしゃぶしゃぶ用もたくさん作ります」と答えました。

 

すると、店長は「お前は何年精肉をやってるんだ?」と怒りました。

 

僕は今まで先輩に教えられた通りに仕事をしていて、店長に

 

怒られたことはありませんでした。

 

僕は驚いて、次の言葉が出ませんでした。

 

店長は「お前は何のために仕事をしているんだ。ただ商品を売場に

 

並べているだけだろ、全然心が入っていない」と僕を責めました。

 

今まで先輩から教えられたことは何だったんだろうかと思いました。

 

それから店長の厳しい教育が始まりました。

 

先輩の教えは売る側に立ったもので、店長のそれはお客さん側に

 

立ったものでした。

 

今度は店長に何度も叱られながら、僕は負けずにお客さんの気持ちを

 

理解しようと心がけました。

 

かなり時間がかかりましたが、お客さんの生活パターンに合わせた

 

売り場づくりを考えるようになりました。

 

お客さんと気持ちが共有できるように、例えば、成人の日、節分、

 

お花見、入園・入学、子供の日、母の日、父の日、運動会、キャンプ

 

といった季節や行事に合わせて商品を選定し、販促物やPOPを工夫して

 

売り場を盛り上げました。

 

その結果、いつも変わらない売場が活気づき、お客さんの態度も

 

変わり始めました。

 

僕が企画したコーナーにお客さんが集まるようになったんです。

 

僕の気持ちがお客さんに伝わったのでしょう、売り上げが増えてきました。

 

厳しい社会の中で、心が疲れ果てて苦しんでいる人もいるでしょう。

 

家庭では嫌なことを忘れ、楽しく食事をしてもらいたいと思いました。

 

そのためには、心を込めて食卓に幸せを届けるのが僕の仕事だ

 

と思うようになりました。

 

ところが、それをするのは大変で、周囲からの不満の声が上がりました。

 

同じ給料なのに、そこまでやらなくてもいいのではないかと不満を

 

持つ人が出てきました。

 

お客さんに幸せを届ける気持ちと、部内の人たちの不満との狭間で

 

僕は落ち込んだのです。

 

そんな時、ブログを始めることを勧められたんです。

 

ブログを通じて、心の繋がりが僕を支え、食卓に幸せを届ける

 

という強い気持ちが蘇りました。

 

お客さんから「成人の日のお祝いに息子にステーキを買って

 

帰ったらとても喜んでくれたよ、ありがとう」と言われ、

 

心が熱くなりました。

 

冷蔵庫の冷たいお肉の塊を愛に変えて、食卓に幸せを届けるのが

 

僕の仕事です。

 

少しでもお客さんの幸せの手助けとなれば嬉しいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます