ご飯が一番美味しく感じるとき

 

こんにちは。

 

今回はスーパーの精肉部門で一緒に働くパートさんのお話です。

 

彼女は常に周りの人に優しく、その優しさから多くの人に愛されています。

 

彼女はシングルマザーとして一人娘の真奈ちゃんを育てるために

 

大変な苦労をしてきました。

 

彼女は経済的にも困難な状況に立たされ、時には父親のいない

 

真奈ちゃんの寂しさに心を痛めたようです。

 

父の日に真奈ちゃんから「どうして私にはお父さんがいないの?」

 

と尋ねられた時の辛さは忘れられないそうです。

 

真奈ちゃんが学校から帰って一人で寂しく彼女を待つ時間は、

 

彼女にとってとても心配だったようです。

 

彼女は、真奈ちゃんが中学高校ともに学校の成績が優秀だったので、

 

できれば大学まで進学させたかったようですが、食べていくだけで

 

精一杯で、それは実現しなかったそうです。

 

しかし、彼女は多くの人から支援を受け、娘を育て上げました。

 

真奈ちゃんは高校卒業後、工場で正社員として働いています。

 

彼女にはお金がありませんが、苦しくても誠実に生きることで

 

多くの人とつながりができ、それが彼女の貴重な財産となったようです。

 

毎日、売り場でお肉を並べる彼女には知り合いや近所の人たちが

 

声をかける姿がよく見受けられました。

 

それは、彼女が多くの人に愛と思いやりをもって接することで

 

生まれた特別な絆だったのでしょう。

 

話は変わりますが、毎年、夏になるとお店では土用の丑の日に食べる

 

うなぎの予約販売が行われます。

 

この季節は夏のボーナスが支給され、懐が暖かい時期でもあり、

 

絶好の販売チャンスです。

 

うなぎの予約販売はお店の売上に大きく影響します。

 

毎日の朝礼でうなぎの予約実績が発表され、店長からさらなる

 

販売努力をするようにと激励されます。

 

お店の従業員はお客さんに声をかけて売り込む努力を続けました。

 

でも、最近うなぎは値段が高くてなかなか思うように売れません。

 

ある人は親戚に買ってもらったり、友人・知人に買ってもらい、

 

それもできない人は自分で買ったりします。

 

最終的に予約獲得金額で上位者は朝礼で表彰されました。

 

驚くべきことに、うなぎの予約販売で1位に輝いたのは彼女でした。

 

彼女はそんなにうなぎを積極的に売り込むようなタイプではなく、

 

どちらかと言えばおとなしいタイプです。

 

僕は彼女にどうしてあんなにうなぎが売れるのかと尋ねました。

 

すると、彼女は僕に「みんなはどんな時ご飯を食べたら美味しいと

 

感じると思いますか?」と質問するんです。

 

僕は「お肉の中では最高級のステーキを食べたときや、

 

友達とレストランに行っておしゃべりしながら食事をする時

 

美味しく感じる」と答えました。

 

すると、彼女は違う違うと首を振って、「それはあなたが美味しく

 

感じる時でしょう。本当は、人はお腹が空いた時食べるご飯が

 

何を食べても一番美味しいのよ」と笑いました。

 

僕はそれとうなぎの予約と何の関係があるのかと尋ねました。

 

彼女は今まで困った時、多くの人に助けられたので、なんとか

 

みんなに恩返しをしたいと思っていたようです。

 

でも、彼女にできることは小さなことばかりでした 。

 

考えた末、彼女は自分よりもっと困っている人こそ、彼女の愛で救って

 

あげられるのだと思ったそうです。

 

それから、彼女は自分のできる範囲で精一杯、困っている人の

 

お手伝いをしたそうです。

 

そして言いました、「ご飯を食べる時のように、愛に飢えている人に愛を

 

あげれば、それが小さくてもとても嬉しいのよ。

 

愛って本当に欲しい人にあげればご馳走なんです」と僕に教えてくれました。

 

彼女のように、愛と思いやりを持って行動すれば、周りの人々の心に触れ、

 

共に幸せを分かち合うことができるようですね。

 

そのことがうなぎの予約販売の成績につながったようです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。