こんな姿でも同じ人間

 

おはようございます。

 

僕はスーパーの精肉部門で働くひとりの人間です。

 

パートさんの入れ替わりがよくありますが、僕の部門ではいつも

 

10人くらいの人が働いています。

 

その中に、勤続年数が10年以上のベテランパートさんがいます。

 

勤続年数が長いだけあって、彼女の仕事は正確で早かったんです。

 

でも彼女は、みんなとほとんど給料が同じなのに自分だけ仕事が多く、

 

それも責任のある仕事ばかりだといつも不満を言っています。

 

仕事が忙しい時の彼女は、とても機嫌が悪く、職場内が険悪なムードになります。

 

そんな時僕は「仕事ができるあなたには重要な仕事が任せられるんですよ、

 

あなたがいないと仕事が回りません」と彼女を褒めます。

 

すると彼女は「みんなが仕事が遅いのは困るのよ」と仕方がないような

 

口調でしたが、表情は和らぎ内心はとても嬉しそうでした。

 

愚痴をこぼさなければ、彼女は立派な人なのに残念だと僕は思いました。

 

ある日の夕方のことです、僕が仕事が終わって仕事場の後片付けを

 

していました。

 

その日はとても忙しくて、生ゴミやトレーなどの入った大きなビニールの

 

ゴミ袋が3つもありました。

 

僕はそれを台車に乗せて、お店の外にあるゴミ捨て場まで運ぶことにしました。

 

ところがバックヤードの通路では他部門の人が作業をしていて

 

通りにくかったので、仕方なく売場を通ってゴミ捨て場に行きました。

 

その日は朝からずっと忙しく制服は汚れていて、僕は大きなゴミ袋を

 

乗せた台車を疲れ切った表情で押していました。

 

その姿はとてもスマートな姿ではありませんでした。

 

そこにはたまたま子供連れのお客さんがいて、僕についてきました。

 

そのお客さんは母親と小学校の1、2年生くらいの男の子でした。

 

その母親は、僕に聞こえないと思ったのか、小さな声で「見てごらん

 

あのおじさんを、勉強しないとあんなふうになるからね」と囁きました。

 

僕はそれを聞いて後ろを振り返ると、母親は慌てて顔をそむけました。

 

でも男の子はじっと僕の顔を見つめました。

 

僕はその男の子の純真無垢な目を見て辛くて悲しくなりました。

 

読者のみなさん、僕の愚痴を聞いてください。

 

「お母さん、僕だってこの子と同じ人間です、将来がある子供にそんな

 

教育をしないでください、僕はお客さんの食卓に幸せを届けるために

 

今の仕事に誇りを持って働いているんです」

 

これでスッキリしました。

 

僕も先ほどのパートさんと同じで、愚痴を言いたくなるのは

 

人間本来のありのままの姿なのかもしれませんね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。