希望の光

 

おはようございます。

 

僕と一緒の部門で働いている社員で、入社してもうすぐ2年になる女性がいます。

 

少し前は彼女は元気がなく、仕事にやりがいを感じていないように見えました。

 

また、精神的に疲れているようで、あまりしゃべらなくなりました。

 

残業はそんなにないし、無理な仕事を与えているとは思いません。

 

彼女と同期入社の社員は既に何人も会社を辞めているようです。

 

彼女は自分が今やっている仕事が、他の会社に行っても、通用するのだろうかと

 

不安な気持ちで働いているようでした。

 

ちょうどその頃、精肉部門で取り扱っているミートボールの販売競争が

 

全店で行われました。

 

一定期間にそのミートボールを何個販売できるかで順位を争うものでした。

 

彼女は加工品の担当で、ミートボールは彼女が発注していました。

 

僕は落ち込んでいた彼女に、全店で1位になるように激励しました。

 

彼女は最初、そんなことは無理だと思っていたようです。

 

でも1位になるためにはそれだけのミートボールの発注が必要です。

 

僕は思い切って彼女に、大量の発注を指示しました。

 

彼女はそんなことをしても、仕事が増えるだけで、自分にとって何のメリットも

 

ないと不満そうでしたが、仕方なく言われた数量の発注をしました。

 

その後、大量のミートボールが入荷し、売場に並べきれませんでした。

 

残酷なようですが、僕は心を鬼にして、彼女になんとしてでもこの商品を

 

売り切るようにはっぱをかけました。

 

そのとき彼女は僕を恨んでいるように見えました。

 

困った彼女は工夫して、他の商品のスペースを縮小してミートボールの

 

スペースを広げたり、それを2カ所に並べたりしました。

 

そしてその前を通るお客の目に止まるように、POPを何枚も取り付けました。

 

彼女の作った売場はボリューム感があり迫力のあるものでした。

 

その結果、大量陳列の効果が出て、最初は全店で3位の売上でした。

 

彼女は自分が工夫した売場でこんなに売れるとは予想していなかったようです。

 

それから彼女は、毎日店別の売上を見るのが楽しみになり、何とか1位になるために、

 

朝礼ではみんなの前でミートボールを買ってもらうようにお願いしました。

 

そして通路ですれ違う他部門の従業員に、一人ひとり声をかけました。

 

彼女は自分の持っている力を最大限発揮して頑張りました。

 

僕はそんな彼女を見て、今までとは別人のように思いました。

 

目の輝きが今までとは全然違ってきたのです。

 

結局最後は、彼女の頑張りで、ミートボールの売上が全店1位となりました。

 

彼女はそれが自信となり仕事のコツを覚えたようです。

 

また、多くの人に協力してもらった彼女は、人情味のありがたさを強く

 

感じたようです。

 

人の行動は気持ち次第で大きく変わるものですね。

 

彼女は先の見えない人生の暗闇の中に希望の光を見つけたようです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。