ダイヤの心

 

今日はおしゃべりなレジ部員のお話をします。

 

うちのお店のお客さんは、午前は10時半から12時くらいと、午後は4時から

 

7時くらいが来店のピークです。

 

僕はレジ部員ではないのであまり詳しいことは知りませんが、レジ部員は

 

その間の暇な時間に交代で休憩を取ったり、レジ周りの掃除や

 

レジ袋などの補充や備品の整理、釣銭の両替などをしているようです。

 

ピークの時間帯は不必要なおしゃべりはできませんが、暇になると気を抜いて

 

お客さんと友達のようにおしゃべりする女性がいます。

 

子供連れの女性のお客さんがお勘定のとき、「かわいいお子さんですね、

 

何年生ですか」とお母さんに話しかけます。

 

お客さんは、「○○小学校の2年生なんですよ」と答えました。

 

するとそのレジ部員は、「え~、私の子供も同じ小学校の3年生なんですよ」と

 

話しが続きます。

 

買い物かごのカレー材料を見て、「今日はカレーですか?私の娘もカレーが

 

大好物なんですよ」と友達のように話します。

 

手は動かしていますが、話に夢中で、レジ打ちはゆっくりになります。

 

レジに並んでいる急ぎのお客は早くしてくれというような顔をしています。

 

そんなことまったく気にしないでおしゃべりしています、強心臓ですね。

 

ある時僕は彼女に、どうしてあなたはお客とあんなに馴れ馴れしく

 

気おくれもしないで、よくしゃべるのかと聞いてみました。

 

実は、彼女が子供の頃はとても人見知りで無口で気が弱かったそうです。

 

人前で話すのが苦手で、いつも人の陰に隠れているような子だったそうです。

 

中学校の担任の先生から「あなたの心臓はガラスみたいね」とよく言われたそうです。

 

僕はガラスの心臓とはどんな意味があるのかと聞いてみました。

 

すると彼女は、「傷つくとガラスのようにもろくて割れやすい心でした」と

 

恥ずかしそうに答えました。

 

僕はてっきりガラスのように透明な心だったのかと思ったのですが

 

そう言わなくて良かったと思いました。

 

今の彼女を見ていると、曇りガラスとしか思えません。

 

かわいい子も大人になって世間の荒波にもまれれば強くなるんですね。

 

少々のことでは割れない強い心臓になったようです。

 

今では彼女は鋼鉄のような強い心でレジを打っています。

 

でも僕は彼女のような人情味のある人は大好きです。

 

そのうち彼女はレジのリーダーとして頑張ってもらわなければなりません。

 

彼女はこれからもっともっと頑張って、鋼鉄よりも硬くて光り輝く、

 

ダイヤのような心でレジを打ってくれることを期待しています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。