おはようございます。
僕の仕事の先輩で、3年前に会社を辞めた人がいます。
その人の父親が5、6棟の大きなマンションを所有していて、今では
父親とふたりでそのマンションの管理をしているようです。
先輩の父親は、彼が学校を卒業してすぐにマンション経営を承継するのではなく、
しばらく外に出て働いて、社会の厳しさを学んで欲しかったようです。
なので彼はスーパーで働くことで客商売の基本を学ぶことにしたようです。
会社員時代の先輩は、とても真面目なタイプで、仕事で手を抜くことなく
頑張って働いていました。
明確な将来の目的があった彼は、少しでも多くのことを取り入れようと
思っていたようです。
それは僕がスーパーに転職したばかりの頃で、僕はその先輩から厳しく仕事を
教えられ鍛えられました。
僕はいつも彼を見て、生き生きと仕事をしていると感じました。
彼と僕はとても仲が良く、ボーナスが出た時はいつも仕事帰りに、
彼は僕を食事に誘ってくれました。
飲んで食べて話して、とても楽しい時間でした。
食事代はすべて彼の奢りで申し訳なく思いました。
彼はお金持ちの息子です、その頃まだ独身だった彼は、もらったボーナスは
全部お小遣いのようでした。
僕はそんな彼を見て、生まれた時の環境でこんなに人生は違ってくるのだと
肌で感じ、とても羨ましく思いました。
それから彼と一緒に仕事をしていた時から数年経ち、僕が仕事の休みの日に
ホームセンターで買い物をしていた時、偶然、先輩と出会いました。
僕が「お久しぶりですね」と声をかけると、先輩は「お~、お前は元気で
やっているか」と懐かしそうでした。
お昼前だったので彼は、「これから一緒に飯でも食いながら話をしよう、
時間は大丈夫か」と誘うので僕は、「僕はいいですが先輩は大丈夫ですか」と
聞きました。
すると彼は、「お前と違って、俺は会社員じゃないから、いつでも時間は
自分で作れる」と笑いました。
ふたりは近くのレストランに行って、彼の今の状況や僕の今の仕事のことなど
食事をしながら話しました。
僕は、「お金と時間がたくさんあって先輩は今とても幸せそうですね」と
羨望の眼差しで彼の顔を見ました。
すると彼は、今より会社にいた時の方がよほど幸せだったと言うんです。
そして今の僕を知って、先輩より僕の方が幸せに見えるそうです。
僕が不思議に思って、どうしてなのか聞いてみました。
彼は今では、何不自由のない生活をしているようですが、
自分は何のために生きているのか分からなくなり、不安になるそうです。
幸せを求めてガムシャラに働いている僕のことを聞いて、本当の幸せは
そこにあると思ったそうです。
僕は彼の話を聞いて、幸せとは、人生で悩んだり苦しんだりして
それを克服した時に感じるものかも知れないと思いました。
僕は先輩に、「僕の幸せを羨ましがらないで、もっと頑張って幸せを感じて
下さい」と忠告しました。
そして今回の食事代は僕が支払いました。
幸せって、それを夢中になって追いかけている時が本当の幸せなのかも
知れませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。