こま切れ肉のすき焼き

 

おはようございます。

 

先日のことです、僕がお肉の品出しをしていると、お婆さんが牛肉コーナーで

 

薄切り肉を1パックもって僕に話しかけました。

 

「今度孫がうちの家に遊びに来るの、せっかく来るんだからすき焼きを作って

 

食べさせてあげたいんだけど、このお肉でいいの?」と。

 

お婆さんが手に持っていたのは100gが600円のすき焼き用のお肉でした。

 

僕は「そうですよ、これですき焼きを作ったらおいしいですよ」と勧めました。

 

するとお婆さんは「このお肉は300ℊだけど4人で食べるのに足りるかしら」と

 

僕に尋ねました。

 

僕はどんな人が食べるのかと聞いてみました。

 

すると息子さん夫婦と高校生と中学生の男の子の4人のようでした。

 

僕があなたの分はどうするのかと聞くと、自分は野菜だけでいいそうです。

 

食べ盛りの男の子がふたりいるのなら、これではとても足りないと

 

思ったので、僕はもう1パック買って600ℊ買うことを勧めました。

 

2パック買うと3600円くらいになります、それに消費税がかかります。

 

お婆さんは財布を取り出し、お札を数えてため息をつきました。

 

そしてお婆さんは「主人が亡くなって、少ない年金で暮らしているので

 

孫たちにたくさん食べさせてあげたいのだけど、そんなお金がないのよ」と

 

寂しそうに言いました。

 

僕は食べることもままならない貧しいお年寄りが世間にはたくさんいると

 

いうのを聞いたことがありました。

 

僕はお婆さんに「そんな高いお肉を買わなくても、そこにあるこま切れ肉でも

 

十分おいしいすき焼きができますよ」と言って指さしました。

 

これだったら100gが300円くらいなので今持っているパックの2倍の量を

 

買うことができます。

 

「こま切れ肉にサービスの和牛脂を混ぜて作れば、美味しいすき焼きを

 

お孫さんたちにたくさん食べてもらえますよ」と僕はお婆さんに教えました。

 

息子さんもお婆さんの生活が苦しいのはわかっているはずです。

 

無理して高いお肉を買わなくても、お婆さんのやさしい気持ちで

 

すき焼きを作れば、きっとみんなは喜んでくれると僕は思いました。

 

そしてお孫さんも質より量のほうを喜ぶのではないかと思いました。

 

実は安い給料の僕の家庭では、すき焼きのお肉はいつもこま切れ肉です、

 

それでも奥さんと子供は美味しいと言って食べてくれます。

 

結局、お婆さんは納得して、こま切れ肉を2パック買って帰りました。

 

お店の売上のためには高いお肉を2パック買ってもらった方が

 

いいのですが、本当にお客さんに喜ばれる商売をすること、

 

食卓に幸せを届けるのが僕の仕事です。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。